飼育と採集の知恵袋 ~2021年度~
カブクワ飼育と採集について、私自身が覚えた事・見つけた方法などの中から役に立つ(事があるかも知れない)ものや、採集行の顛末を紹介してみます。
尚、ここに書かれた方法等はあくまでも<事例>でありますので、
その効果や安全性を保障するものではありません。実践されるに当たっては、
ご自分の自己責任にてお願い致します。

【安定器の進化系?】
植物用のライトに使用する安定器があるというのを弘前市のN君から聞いていた。
彼は自宅で飼育している観賞魚のライト用に中古で仕入れた物を使用しているらしい。
この機材の弱点は長持ちしない(という噂)ということと、完全屋内用なので雨に弱くそれなりの対処をしなければならないこと。
但し、非常に軽いというのが魅力ではある。
このメ-カ-の付随する商品にランプもあるのだが、植物の初期成長用と中間育成用と最後の仕上げ用があるみたいで、その仕上げ用の商品名が『フィニッシュ』だったのには驚き、笑った。
これはもうフィニッシュ君にプレゼントしたくなるよね(笑)。
【ナラ枯れ】
昨日HPを更新したら5分も経たない内にフィニッシュ君からラインが届いた。
彼のことを書いたからだが、早すぎる。
先日に、またHPログイン画面がおかしくなったので家に来てもらって修正してもらったのだが、その際に盗聴盗撮機器などを仕込まれたか?というほど早かった。
コンセントその他に見慣れない機器が付いてないか一応探ったが何もなかった。
彼に聞いたらたまたまだったようだが、彼やチョコ君らは時折Amazon辺りから時折怪しい機器を見つけては仕入れてくるので油断がならねェ(笑)。
よっちゃんから岩手でナラ枯れが進行しているみたいと聞いた。
以前青森でも上北郡の一部や西津軽郡で発生したと聞いているが、現在では一応治まっているのではないかと思ってる。
ちょっと気になったので岩手のI親分に連絡してみたら、やはり岩手におけるナラ枯れの情報は入ってたみたいで気にはなっていると申しておられました。
ナラ枯れが蔓延するとどうなるのかというと、聞いたところでは餌木が枯れるので普通種も異常な数が飛ぶらしい。
オオクワは♂の飛来数がやたら増えると言われているが定かではない。
そしてその後数年間は普通種すら数が激減するのだとか…。
岩手は餌木においてナラ類に頼ってないので被害は最小で収まるのではないか。
問題は青森だ。
それが蔓延した時にいったいどうなるんだろう。
ナラ枯れが蔓延した時にクワガタシャワ-を浴びたいと考える人もいるかもだが、オラは出来れば避けたい派だ。
しかしながら、それが起きてしまったならば観察研究するチャンスだから見逃せるはずがない。
何の木をその時餌木として利用しているのか、どのような状態で利用しているのか、観察するならばその時を逃す手はあるまい。
自分が生きている内にその日が来るのかは知らないが青森の若者(と言っても30代…)が解明してくれるだろう。
【哀愁のバル-ン】
この7月に採集仲間である関東のGちゃんから初めて電話がかかってきた。
何やら秘密兵器を仕入れたのだが、それを7月に来青した際に8月まで預かってほしいという要望だった。
それが道路工事でお馴染みの1,000W水銀灯バル-ンだった。
店舗の退去に伴い物置代わりにしてた車庫のスペ-スが満杯だったので丁重にお断りした。
結局は彼らが常宿宿にしてた民宿店主が引き受けてくれたのだが、意外と現物を見たらコンパクトだった(安定器が重いけど)。
オラはあの風船部分はプラスチックかなんかだと思ってたのだが、実際は布製だった。
温風か何かで膨らませていたんだろう。
それで、その効果は如何に?というと、想像通りにアッチョンブリケ…。
しかるべきところに配置すれば蛾は来るのですがクワガタにはチト遠い。
昔、とある採集魔人がこのバル-ンでオオクワを多数拾ったと聞きましたが、それは多産地であり、道路上に十数台もバル-ンが並んでいたことによるものと思われます。
そのバル-ンも最近の機種は全てLEDになってますから蛾すら寄ってきません。
数日前から家の近くで道路の補修工事が始まり、多数のバル-ンが並んでいますが蛾の1匹も見えません。
備え付けられている発電機は各900Wクラスの小さな発電機。
恐らくはLEDだからそれをエコノミーの省電力で炊いているのでしょう。
長らく夏の風物詩として楽しませてくれた焼山飲食店街の街灯廻りも、予算が付いた為、街灯がLED化されると聞いています。
オリンピックが終わったことで来年あたりに一気に更新されるのでしょうか。
仕方ないことですが、でもねェ~LEDの光って冷たく感じるんですよね…。
【理想の灯火機材】
以下に書く機材は実現しません。
でも、こんな機材があったらという夢の物語りです。
スポラ-トはあまりスポットが当たる部分ではないかもですが、こんなのがあったらという夢を一緒に見ましょう。
現行製品の全ての球が入る規格にします。
内面は超高反射のブリリアン加工します。
天板ガラスですが、歪みのない国産2ミリガラスで、紫外線カット剤なしのガラスがはめ込まれており、しかも取り外し可能です。
晴天時はガラスを取り外し、雨が降ってきたらガラスをワンタッチで装着できます。
ガスが漂ってきたらスポラ-トの外周半分にワンタッチで装着できる帽子を被せて上方への光をカットできます。
1000Wの球を入れていたなら、スイッチ一つで700W、500Wの三段階に減衰できます。
更にレバ-操作一発で広角にも夾角にもできます。
更に更に一発操作で光の遮断幕が下りてきます。
これにより道路での遮光が容易になるわけです。
ここまで書いておいてなんですが、球、その他の記述に関する夢は止めておきます。
ここから先は青森県のヒ、ミ、ツ(笑)。
【素晴らしかった灯火総研】
ここで、かつて販売してた商品は、記憶によればアメリカあたりの警察、消防、森林警備隊などでよく利用されていたもので、それを見越した開発商品であったような気がする。
それを昆虫採集に流用できると踏んだ販売元が輸入してたんだろう。
幾つかの惜しい問題を抱えてはいたものの、大変優秀な機材だった。
前回記事で思い出したので、何年振りかでここの販売サイトを覗いてみてちょっと驚いた。
我々が採集で要求していた旧機材は全て廃番になってて、恐らく旧機材使用者にはもの足りない新商品が出ていた。
多分だが、照明機材としてはやや大きくて重く、連続点灯時間も足りない。
価格も高くて何より紫外線量が多いので先に述べた使用環境では虫が寄ってくる他、救助においては対象者の目に悪いということもあったかも知れない。
つまり製造元が販売数の減少により生産を止めたのではないか。
現行商品を見ると何ら購買意欲をそそられる要素がない。
決定的なのはやはり価格が高いということ。
中華製や個人のハンドメイド品に比べるとメ-カ-品なのだろうからアフタ-を含めた安心感では上回るかも知れないが、そこを見越しても価格が高すぎる。
そして何よりだがフォーカス機能がなくなっているじゃないか。
個人的意見だけれど新商品は売れないんじゃないかと思ってしまう。
旧機材をお手持ちの方は大事にされたほうがよろしいかと存じます。
【30年後のライトトラップ】
30年後というと多分オラは間違いなく、そして練馬の御大らも虹の橋を渡っているか老人ホ-ムでフガフガ息をしているだけだろう。
青森県勢で期待の若手と言われた世代も、その頃には今のオラと同じ年頃になっている。
体調不良や各種の疾患に悩まされる者もいるだろう。
今しかできないことはできるうちにやりなさいというのが先輩の遺言である。
さて、その頃の機材などはどうなっているのか占ってみる。
まず、今の自分らが主力で使用している水銀灯やメタハラなどだが、使用の都度に僅かながらも輝度も紫外線量も落ちて来る。
それは毎度の使用では気が付かない程度であろうが、屋内の蛍光灯が寿命を迎える前に暗くなったり明かりがチラチラしてくる経験から予測できる。
今の機材を大事に扱ってトラブルなどで壊さなければ一応30年後でも使えるかもしれないが、集客力はそれなりに落ちていると推察される。
近年は車のHIDライトを流用した50~75W程度の機材が流行している。
この機材は製作した人の技術や熱意の差で当たりはずれも多少あるようだが、特に入門者の人には有り難い機材であろうか。
比較的安価で場所もとらず、携行に便利という点でだ。
それなりの知識を得た人がせっせと副業で製作販売しているように見受けられる。
これらの機材には幾つかの弱点?がある。
まずW数の貧弱さだが、これは現状仕方がない。
欲を言えば最大150Wで、これを100Wと70Wくらいに切り替えれる商品なら文句はない。
けれどそんな部品もないだろうし、あったとしても消費電力が多くなって、見合ったバッテリーの購入と携行が必要になり利便性の要素が損なわれてしまう。
今の主流の商品ならそれに見合った場所に入ればいいだけの話だ。
バッテリーの問題もある。
フルパワーで連続3時間点灯させられるなら最高だけど、現行商品はそれに足りない。
中華製品で連続4時間の点灯可能というのもあったけど、お国柄で故障が多すぎるという何とも情けない商品であった。
普通の採集者の方には現行商品でも充分と言えるかもしれない。
けれど青森の爆弾魔一味の中には、車で行ける所まで行き、そこから徒歩で機材を何往復もして荷揚げするメンバーもいるのでハードな採集をする者には重要なポイントなんだな。
この辺から言うと、ある程度の防水機能も持たせて欲しい。
小雨程度で数時間ならOKですよというなら購買意欲に繋がること間違いなし。
次に、この手の商品の中では先駆け的と言える商品を販売していた灯火総研について語ってみます。
ここの機材はまず、値段が高い。
なんぼマージン抜いてるのやと言いたいほどだったが、ここにしかないある唯一無二?の機能がその怒りを納めるのだ。
それはフォーカス機能。
指先一つで広角にも夾角にもワンタッチで変更できるし、その精度が素晴らしい。
なぜ現行業者が真似しないのか不思議だ。
そんな複雑な構造でもなかろうに。
特許とか絡んでいるのかな?。
話が大分それたけど、この自動車部品を利用した照明機材もLEDに順次移行しているので将来的に供給されるものではないと思います。
LEDはどうか?。
紫外線LEDの研究も進んではいるみたいです。
その殆どの目的は農業の水耕栽培などに向けたものでしょう。
ところが原行製品では生産者から言わせると生育の効率に大分問題があるそうです。
生産者が満足する製品ができたとて、果たして昆虫採集に流用できるものが開発されるのでしょうか?今のオラの予測では無い!と言う予測です。
結論。
30年後にはLEDを主体とした製品を武器にチョコチョコやるしかないのでは?。
資金力にものを言わせて大量に必要以上の機材を集めていた関東のヒグラシケケケ氏などはまだ在庫を持っているだろうが、自分が行動不能になるか虹の橋を渡っていればたちまち遺族によってヤフオクか廃棄かで宝物は処分されるであろうよ。
今お手持ちの機材は大事に使用、保管することをお勧めいたします。
【2021青森県夏の総括】
この夏も体調が優れずに、病院通いの日々で動ける時は家庭菜園を弄っていた。
結局今年出撃したのは7回で、その内の4回は県外の友人が来た時にお手伝いで行っただけなので自分の屋台を開いたのは3回だけである。
それでも仲間から連日グル-プラインや電話で状況報告があったので纏めておきたい。
まず、天候であるが7月に入るやいきなり連日の高温の上に雨が全く降らない日が続いた。
毎夜、夜中でも25度以上あるので近くに居る小さい個体しか飛ばない。
8月に入っても高温は続いて、標高を上げてもダメだった。
更に月齢が良い時に限ってガス、大雨、暴風、台風に見舞われて皆フラストレーションが溜まったことだろう。
採集された個体を見聞すると明らかに異常だった。
まずミヤマが、それも♂の大型個体の数が殆ど見られなかった。
♀の数もかなり少なかったが、採集圧の低いポイントではやはり数は少々物足りないものの、そこそこの大型個体を得られていたのは興味深い。
数が少なかったのか、高温で飛ばなかったのを考察するとやはり数が少なかったと個人的には見ている。
数が少なかった上に高温だと産卵しないミヤマだから、来年も数は見られないのではないか?。
但し豊富な環境を得た個体が大型化する可能性も排除できないから、この先2~3年のミヤマウオッチングは面白いかも知れない。
更に言えばこのまま地球温暖化の影響?で高温が続いたとしたら、青森県ではほぼ得られない完全フジ型の個体が得られるようになるのかもウオッチしていきたいところである。
青森より寒い北海道では時折得られる完全フジ型がなぜ青森では幻に近いくらいに少ないのか?この謎を追うのも昆虫採集の楽しみの一つであろう。
今年はノコギリクワガタが一番多かったのではないか。
特大の話は聞かなかったが大歯の飛来率は悪くなかったように思う。
幼虫時代の生息環境がミヤマに近いのになぜこんなにミヤマと差がでるのだろう。
アカアシもやたら数が少ない上に型がおしなべてみな小さかった。
立ち枯れだろうが倒木だろうが劣悪な環境をものともせず繁殖するオールラウンダ-がさしたる姿を見せなかったというのは逆に不気味である。
オニクワガタが今年は豊作だった。
発生時期は例年よりやや早めに姿を見せた。
普通は一つの屋台に5~6匹というところだが、10匹前後来るのが当たり前で20を数えた屋台もあったという。
しかも例年なら大体姿を見せる期間は2週間に満たないくらいなのに、今年は結構なロングランが続いたみたい。
オオクワガタはどうだったかというと壊滅状態に近かった。
とにかく条件が揃わなかったというのが最大要因ではあろうが、確実に個体数そのものが少なかったと判断している。
これまで一次発生が駄目でも二次発生で帳尻が合うという年が何度もあったけど今年は全く経験したことがない状況であった。
恐らくここ20年では最低の成績だったのではと推測する。
多分今年は青森県内で得られたオオクワの総数は40匹に達してないのではと推測する。
今年は条件その他に徹底的に恵まれなかった年ではあったろうけど、それでは来年以降に右肩上がりに回復していくかというとそうでもないと自分は考えている。
元々青森はライトトラップを出来る場所が少なくて、その場所の木が年々成長して明かりが通らなくなっているのです。
恐らく10年後くらいには今あるポイント数は半減すると思います。
だから我々県内勢は新規ポイントの開拓に勤むべきではないかと思います。
コクワガタは例年以上に姿が見られた。
オオクワガタより遥かに少ないスペ-スで繁殖できるとは言え、同じドルクスでなぜこんなに差がでるのでしょうか。
この辺の考察は現在の青森県ではコクワ研究の第一人者となっているフィニッシュ君に任せます…。
但し、彼はパソコンの前に座っていると優秀な研究者だけど、一旦フィールドにでると獰猛な猪武者になるから結果が得られるかは分からんけどね。
今年の最大勢力を発揮したのはカブトムシと言って過言じゃない。
とにかく多かった。
この数で産卵しまくったら来年はどうなるのだというくらい来た。
以上2021年の雑感でした。